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2016年7月1日更新
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角川庭園・幻戯山房
荻窪駅南口の商店街から一歩入ると、閑静な住宅街が広がる。この地域は、大正時代に別荘地として知られ、関東大震災後、東京市民の郊外転入により発展しはじめた。昭和初期には多くの文化人が移り住み、総理大臣を三度務めた近衛文麿もこの地に別邸(荻外荘(てきがいそう))を構えた一人である。戦後、善福寺川流域の水田が埋め立てられ住宅地や緑地となった。
その時代の面影は、わずかに姿を変え、現在も息づいている。駅から10分ほどの大田黒公園もその一つである。ここは、音楽評論家・大田黒元雄氏の屋敷跡を日本庭園として整備し開園した。正門を入ると樹齢100年を超えるイチョウ並木が来園者を迎える。自然の起伏を生かした回遊式の庭園には、ケヤキ・アカマツなどの巨木が青青と茂る。園内の記念館は、大田黒氏の仕事場の洋館を改装したもので、生前愛用のピアノなどが展示されている。