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令和4年(2022年)2月28日更新

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※3月号は2月14日時点の情報に基づき作成しています。

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伝統の味を守る使命感

齋藤富次(さいとうとみじ)さん(原木シイタケ/八王子市)

「こんなに美味しいシイタケがあることを、多くの人に知ってほしい」と話す齋藤富次さん。原木での栽培にこだわり、持ち前の探究心と長年培った技術と経験により、誰にも負けない意気込みでシイタケを作る。ハウス内で人工的に養分を与え、大量生産が可能な菌床シイタケに比べ、原木での栽培は手間が掛かる。
「90センチメートルにカットしたコナラやクヌギの原木に穴を開け、一つ一つシイタケ菌を植え付ける。半年後には立派なシイタケが発生する」。仕事を始めた45年前より、種菌メーカーの研究努力のおかげで年々品質の良い美味しいシイタケが開発されているという。
原木は、紅葉が始まり、木が水を吸い上げなくなり養分を蓄える寒い時期に伐採したものを使う。この養分でシイタケは成長する。さらに、樹皮の様子を見て水をかけたり、月に1回「天地返し」という木をひっくり返す作業を行うことで、木の中に菌が回り、良質なものが育つ。「労力を惜しまない人じゃないとこの仕事はできない。丁寧に管理したシイタケは、歯ごたえと香りがぜんぜん違う」。
しかし悲しいかな、原木シイタケの味を知らない人が多い。そこで、子供をファンに取り込もうと、幼稚園や保育園で植菌の実演を行い、育てたシイタケを給食などで食べてもらう活動を行っている。訪問先は年々増え、今では20数園を回るまでに。他にも市内のお祭りやイベントで、子供たちへの普及活動を続けている。
もう一つ、危惧していることがある。栽培者と原木伐採者の高齢化だ。「原木が手に入りにくくなり、価格も高騰している。このままでは、先人たちが苦労して築き上げた原木シイタケを食べられなくなる日が来るかもしれない。それを止めるのが私の役目」。東京には齋藤さんのような使命感を持った生産者が大勢いることを忘れてはいけない。

写真
形が崩れていても原木シイタケはどれも美味しい。傘の裏のひだが白い、鮮度の高いものを選ぶといい。

ホームページ https://www.sangyo-rodo.metro.tokyo.lg.jp/nourin/column/

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