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平成29年(2017年)3月31日更新

東京マイスター

明確なコンセプトがあれば、ものが出来上がる
一級プラスチック成形技能士 谷和雄(たにかずお)さん(平成16年度受賞)

「ものづくりのまち」墨田区でプラスチックの原料を金型に流し込む射出成形の工場を経営し、玩具や家電部品などの生活に身近な製品を作ってきた谷和雄さん。工業高校の電気科に通うも「全然、向いてなかった」と卒業と同時に財布職人となった。結婚を機に今の仕事に転じ、昼は工場、夜は職業訓練校などに通い、知識と技術を学んだ。
転職した70年代当初、工場は24時間無休でフル稼働していたが、プラスチック射出成形は金型と成形機があればどこでも生産ができるため、労働力の安い海外へ仕事が流出していった。そこで、「発注されたものを作るだけでは、海外に対抗できない」と始めたのが、顧客からのアイデアを基に開発・設計・試作などを行う、ものづくりのお手伝いだ。「『こんなもの作りたい』と絵に描いてくるだけで、製品になりますよ」と、本業のプラスチック以外の素材でも、協力会社に依頼して形にする。「墨田は異業種交流が盛んだから。お客さんも窓口が一つで楽でしょ」と谷さん。
また、自社商品の開発にも力を注ぐ。趣味の写真を生かし製品化したデジカメ用撮影照明セットは、「きれいに撮れる」「本棚に収まる」「設置が簡単」の3つを突き詰めた。「開発の面白いところは、これと決めると絶対に実現すること。何度も失敗を重ねますが、明確なコンセプトがあれば、ものが出来上がるんです」。
さらに「いろんなことを知って、プラスチックを生かす。自分の得意なもの、好きなものがあればそれも生かす」と後進のプラスチック成形技能士へメッセージを送る。これからも谷さんは次代へ向けた、ものづくりのお手伝いを続けていく。

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「今は、経験を積んで技術を覚えるのが難しい。開発のノウハウを伝えていきたい」と谷さん。

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