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2025年11月1日更新
目次

〈表紙を飾るアスリート〉
中央上から時計回りに、
バレーボール:中田美緒選手
陸上競技:湯上剛輝選手
サッカー:林滉大選手、射撃:高桑昭紀選手
卓球:亀澤理穂選手、テコンドー:星野萌選手

田村大さん
Instagram @dai.tamura(外部サイトへリンク)
アーティスト。東京都生まれ。2016年にアリゾナで開催された似顔絵の世界大会「ISCAカリカチュア世界大会」総合優勝。アスリートを描いた作品がSNSで注目を集め、フォロワー数は約17万人。その中にはさまざまな著名人たちも名を連ねる。
作者コメント
各選手をスーパーヒーローとして、それぞれが必殺技を出しているイメージで描かせて頂きました。エールを届けいという気持ちを込めましたし、絵から躍動感やエネルギーを感じ取って頂けたら嬉しいです。
予約不要・観戦無料。なお、開閉会式はチケットが必要です。抽選受付は終了しました。

4年に1回開催される、耳がきこえない・きこえにくいアスリートのための国際スポーツ大会です
耳がきこえない・きこえにくい方がスポーツをする場合、審判からの声掛けやスタートのピストル音などがきこえないため、デフリンピックでは主に国際手話によるコミュニケーションや視覚的に情報保障された競技環境で行います。聴力検査で55デジベル【注】以下の音がきこえないデフアスリートの方のみ参加でき、競技中は補聴器などを外して、全員が公平にきこえない状態で競技を行います。無音の世界で繰り広げられるドラマをぜひ目に焼き付けてください!
【注】55デシベルは通常の会話の音量

開催期間 11月15日(土曜日)~26日(水曜日)
1924年にパリで始まったデフリンピックは今年で100周年。記念すべき節目の年、日本初の東京大会をお見逃しなく!

【注】ICSDロゴに関する一切の知的財産権は、国際ろう者スポーツ委員会(ICSD)が保有し、日本では全日本ろうあ連盟が管理しています。
陸上競技や水泳のほか、オリエンテーリングといったデフリンピックならではの競技も。手話言語やランプ、フラッグを活用した競技の進め方も必見。

前回のブラジル大会では30個のメダル(金メダル12個、銀メダル8個、銅メダル10個)を獲得し、世界5位!

選手が活躍し羽ばたいていくことを願った今大会の金メダル
耳がきこえないことは外からは分かりにくく「目に見えない障害」とも呼ばれます。だからこそ、同じ条件で競い合うデフリンピックは、選手が公平に能力を発揮できる特別な意味を持つ大会です。
今大会で初参加を果たす、ハンドボール、射撃、テコンドー、レスリングは、昨年都がトライアウトを行い、未経験者も含め全国から有望な選手を集めました。挑戦する選手達にぜひご注目を!
デフリンピックでは、生まれつききこえない選手、途中できこえを失った選手、シニア世代のアスリートもいます。多様な背景を持つ者同士が同じ舞台で競い合う、熱いドラマは必見です!

東京2025デフリンピック公式マスコット「ゆりーと」

独特の緊張が張り詰める音のないコート。響くのはシューズの音とボールを打つ音だけ。点が決まった瞬間、歓声が沸き上がる――「その緩急こそがデフバレーボールの魅力の一つ」と中田選手は語ります。
「きこえる、きこえないに関係なく、バレーボールは1点をチーム全員で取りにいくスポーツ。歓声が音として届かなくても、会場全体の熱気や一体感は確かに私たちに伝わります」
16歳で出場したサムスン2017デフリンピックで金メダルを獲得。今ではチームをけん引する存在ですが、これまで葛藤や試練もありました。
「大学ではきこえる人の強豪チームに入りましたが、耳のきこえない選手は私一人。伝わらない孤独に悩み、監督に相談したところ『自分のことをちゃんとみんなに伝えてみたら?』と。そこで資料を作り、コミュニケーションの方法をチームに説明しました。その後は視線やジェスチャーなどを使って少しずつ連携が取れるように。結果的にチーム全体の視野が広がるなど強みにもつながりました。自ら心を開いて動くことの大切さは、デフバレーにも生きています」2大会連続のメダルを懸けて臨んだ前回大会では、コロナ禍の影響により、準決勝で棄権を余儀なくされることに。「あの時の悔しさを東京の舞台にすべてぶつけたい」

左:サムスン2017デフリンピック金メダル
右:世界選手権2024金メダル
昨年6月、デフリンピックに先駆けて行われた世界選手権で金メダルを獲得した日本代表は、まさに世界を迎え撃つ立場です。
「目標は『全勝優勝!』チーム全員、強い気持ちで臨んでいます。また、多くの人にデフリンピックを知ってほしいとも願っています。『きこえない=しゃべれない、どうコミュニケーションを取ればいい?』と思われがちですが、実際には筆談やジェスチャー、文字起こしなど多彩な方法があります。デフリンピックを通じて、スポーツの素晴らしさとともに、多様なコミュニケーションの世界を知ってもらえるきっかけになれば嬉しいです」
日本初開催のデフリンピックで繰り広げられる静かで熱い戦いが、まもなく始まります。
Profile
2001年神奈川県生まれ。サムスン2017デフリンピックで金メダル、大学ではインカレ連覇を果たす。2024年の世界選手権ではベストセッター賞を受賞。世界のデフバレーボール界を代表する存在。

「筑波技術大学の学生だった2022年、教授からデフリンピックが日本で開かれるとききました。そこでデフハンドボールのサークルを立ち上げたのが始まりです。最初はどうなるか予想もつきませんでしたが、その後、日本ハンドボール協会内にデフ組織が置かれるなど、日本の初出場を見据えた体制が整ってからは早かったですね」
すべての挑戦には“始まり”があります。来たる東京大会でデフリンピックに新たな歴史を刻むのが、男子デフハンドボール日本代表チームです。都が主催したトライアウトで競技適性が高い選手を発掘するなどし、その後、デフリンピックに出場する16人が決定。半数以上が競技未経験者という、ゼロからの船出でした。
「当初は、補聴器をつければきこえる選手と手話言語中心の選手との間に大きな壁がありました。試合中は補聴器を使えないため、コミュニケーションの基本は手話言語。合宿や練習ではもちろん、日常でもSNSで密に連絡を取り合うように心掛けました。こうして2年間、幾多の局面を乗り越えながらチームを築き、絆を深めてきたのです。今ではチームが一つになり、世界の舞台でメダルを目指す覚悟とモチベーションが着実に高まっています」
「空中の格闘技」と称される、スピードとぶつかり合いが特徴のハンドボール。
「基本ルールはきこえる人のハンドボールと変わりませんが、注目してほしいのは視野の広さ。普段から耳の代わりに目を使って情報を集めているので、真横から斜め前まで見える感覚が鍛えられています。音がきこえない中で戦術をどう伝え合って動き、どうディフェンスしていくのか。会場で生の迫力を感じてください」
日本のデフハンドボールの歴史が今大会から始まります。
「世界の強豪に胸を借りながら、勝てる試合は必ず取りにいく。僕らの挑戦が日本のデフハンドボールの未来にもつながるからこそ、良いスタートを切る姿をお見せします。応援よろしくお願いします!」

写真提供:(公財)日本ハンドボール協会
Profile
2001年鳥取県生まれ。日本で初めて結成された男子のデフハンドボールチームを、キャプテンとしてけん引する身長192センチメートルの絶対的エース。
デフリンピックの舞台には、若き挑戦者からシニア世代まで、実に多様な選手が集います。その象徴の一人が、射撃の高桑選手です。金沢市在住、84歳。「異次元の狙撃手(スナイパー)」の異名を持ち、全日本マスターズライフル射撃選手権大会80歳以上の部では、前人未到の4連覇を達成。60代で聴力の低下を抱えながらも競技を続け、東京大会ではデフアスリートとして金メダルを狙います。出身である金沢の伝統工芸「金箔」をあしらった特製ライフルを手に、静寂の中で迷いなく的を射抜く姿は、デフリンピックが示す「誰もが挑める舞台」を体現しています。

射撃 高桑昭紀選手
日程や会場、競技の見どころなどはデジタルブックをご覧ください。
開会式・閉会式や競技の様子をYoutubeで配信します。
| 競技 | 会場 |
|---|---|
|
陸上競技 (マラソン) (ハンマー投) |
駒沢オリンピック公園総合運動場 陸上競技場 東京高速道路および首都高速道路高速八重洲線の一部 大井ふ頭中央海浜公園 陸上競技場 |
| バドミントン | 京王アリーナTOKYO(武蔵野の森総合スポーツプラザ) |
| バスケットボール | 大田区総合体育館 |
| ビーチバレーボール | 大森ふるさとの浜辺公園 |
| ボウリング | 東大和グランドボウル |
| ゴルフ ★ | 若洲ゴルフリンクス |
| ハンドボール ★ | 駒沢オリンピック公園総合運動場 屋内球技場 |
| 柔道 | 東京武道館 |
| 空手 | 東京武道館 |
| オリエンテーリング | 日比谷公園・日比谷エリア、伊豆大島(裏砂漠) |
| 射撃 ★ | 味の素ナショナルトレーニングセンター・イースト |
| 競技 | 会場 |
|---|---|
| 水泳 | 東京アクアティクスセンター |
| 卓球 | 東京体育館 |
| テコンドー ★ | 中野区立総合体育館 |
| テニス | 有明テニスの森 |
| バレーボール | 駒沢オリンピック公園総合運動場 体育館 |
| レスリング (フリースタイル) ★ |
府中市立総合体育館 |
| レスリング (グレコローマン) ★ |
府中市立総合体育館 |
| サッカー | Jヴィレッジ(福島県) |
| 自転車競技(ロード) | 日本サイクルスポーツセンター(静岡県) |
| 自転車競技 (マウンテンバイク) |
日本サイクルスポーツセンター(静岡県) |
★:日本初出場の競技
【注】射撃は会場での観戦はできません
地図とコンパスを頼りにチェックポイントを通過してゴールを目指す知力と体力の競技。東京大会では私たちが歩いている場所も選手が通るルートになるかも!
前回大会で11個のメダルを獲得した水泳のほか、世界記録の期待がかかる陸上競技など、多くの競技で日本人選手の活躍が期待されます。
11月15日(土曜日)〜11月26日(水曜日) 9時00分〜20時00分
オリンピック記念青少年総合センター
小田急線「参宮橋」徒歩7分、地下鉄千代田線「代々木公園」徒歩10分
大会期間中、大会運営拠点となるデフリンピックスクエアでは、デフスポーツやろう者の文化への理解を深めるさまざまなプログラムを用意しています。選手を身近に感じながら楽しもう!

会場内の各コンテンツを体験して集める「スタンプラリー」を実施。達成者にノベルティをプレゼント!台紙は手話アートの第一人者、門秀彦さんがデザイン。

カルチャー棟小ホールで実施。23日(祝日)にはデフアーティストと子供たちが練習に励んだ舞響詩「田園~踊る、鳴らす、詩(うた)う」公演を披露します。

誰もが楽しく、交流できるデジタル技術の展示をカルチャー棟で実施。ユニバーサルコミュニケーション(UC)技術やVRなどを体験できます。

ARグラス
デフリンピックスクエアの詳細はホームページへ。(外部サイトへリンク)

国内外から多くのデフアスリートや観客が集う機会に、さまざまな施設で透明ディスプレイ(写真)や多言語翻訳タブレットなどを活用し、きこえる・きこえないに関わらず誰もが安心して利用できる案内を実施します。

詳細はホームページ(外部サイトへリンク)へ。
11月22日(土曜日)・23日(祝日)・24日(休日)
駒沢オリンピック公園中央広場で「スポーツ FUN PARK」開催!
アスリートとの交流やデフ・パラスポーツ体験を楽しめる他、競技の魅力やサインエールの紹介など、デフリンピック観戦に役立つブース等を設けます。さまざまなスポーツを体験できる「スポーツフェスタ」なども同日開催。
詳細はホームページ(外部サイトへリンク)へ。
スタートの合図はスタートランプ

赤:位置について 黄:よーい 緑:スタート
“閃光”にかける勝負。陸上競技ではピストルと連動し、ランプが光ります。静寂の中で一斉にスタートする瞬間は、会場全体が息をのみます。
デフスポーツならではのコミュニケーション
サッカーやバスケットボールでは、審判や補助審判が笛などの音と併せてフラッグを用いることで、選手に競技中の状況を伝えます。

サッカー (c)全日本ろうあ連盟
東京大会に向けて、ろう者を中心にしたメンバーで、デフアスリートたちと共に開発した「目でみる応援」です。サインエールを覚えてデフアスリートを応援しましょう!
行け!のサインエールは両手を顔の横でひらひらさせてから両手を勢いよく前に動かします。

その他のサインエールはホームページへ。
卓球会場やバドミントン会場ではモニターを設置し、競技中の音を擬音で表示する「ミルオト」により、きこえる人もきこえない人も臨場感を共有できます。
また、水泳会場では、競技解説を文字で体感できる「スマートグラス」、柔道会場では、競技音を振動で体感する振動デバイス「Hapbeat(ハップビート)」等の機器の貸し出しも行います。

ミルオト

Hapbeat