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令和5年(2023年)2月28日更新

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※3月号は2月14日時点の情報に基づき作成しています。

八丈の園芸を支える「恵みの葉」

菊池國仁(きくちくにひと)さん(フェニックス・ロベレニー/八丈島)

都心から南に約300キロメートル離れた八丈島。ここは日本有数の観葉植物と切り葉の生産地であり、中でも島の人々が愛情を込めて「ロベ」と呼ぶヤシ科の植物、フェニックス・ロベレニーの生産は、全国シェアの100パーセント近くを占める。
島で50年以上、ロベ栽培を行なう菊池國仁さんは、苗作りから出荷まで、全ての工程に携わる。「ロベが若いうちは切り葉を収穫し、大きくなったら鉢植えとして売る。肥料は年2回でよく、八丈は雨が多いから水やりの必要もない」。
ロベの葉はしおれにくく長持ちするため、花束のアレンジメントなどさまざまな用途で重宝され、南国ムードの演出に欠かせない鉢植えも大人気。コロナ禍で観葉植物の需要が増えていることもあり、市場価格はここ数年上昇しているという。

ピンチをチャンスに変えてきた

菊池さんが千葉大学の園芸学部で研修生として学び、島に戻ってきた21歳の頃、ロベは最悪の時期を迎えていた。「鉢物は重たい」と嫌われて売れなくなったのだ。だが菊池さんは、「切り葉ならやっていける」と考えた。そこで、種をかき集め、20万本以上の苗を育てた。すると大当たり。切り葉を育てたいという同業者が買い付けに来て、飛ぶように売れたのだ。「育てても処分するしかない、という時は何度もあった。しかしそれを乗り越えると、良い方向に向くものです」。

夢は若い人を育てること

ロベが八丈島へもたらされて約100年。真冬でも0度以下にならない島の気候がロベ作りに適合し、世界でも有数の生産地となった。菊池さんは現在、島外から6人の就農希望者を受け入れ、ロべ以外にもさまざまな植物を育てている。「年齢的にはそろそろ縮小を考えるべきだけど、慕ってくれることがありがたくて」。こうした人と人との温かな関係が、島の産業をつないでいくのだろう。

写真
ロべの畑で。1本の木から年間20枚ほどの葉がとれるという

本号をもって連載を終了します。

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