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2017年10月31日更新
目次
「テーラー中田」の店内に並ぶのは、それぞれの顧客の体型やニーズに合った、世界に1つだけのスーツやコート類。中田雅頼さんは、丁寧な型取りと採寸、精密な裁断・裁縫の過程を通して、オーダーメイドの紳士服を仕立てていく。その着心地の良さや耐久性から、40年以上付き合いのあるお客さんもあり、品質への信頼は厚い。
中田さんの仕事場には、ひときわ目を引く年代物の足踏みミシンがある。「25歳で独立した時に購入したもの。電動ミシンも使うが、精密な仕事をするには手動がいい」。半世紀以上、中田さんの仕事を支えてきた相棒は、今も現役だ。
ここまで続けてこられた秘訣は、「辛抱」だと話す。「物を覚えるには、それなりの辛抱と努力が無いと出来ない。我慢して作業に臨めば、仕事はおもしろくなってくる」と、個人の能力、得手・不得手を越えた仕事への心構えを語ってくれた。
また、修行時代から、師匠の教えでもある「お客様第一」の信条で仕事をしてきた。お客さんに「良くできている」「着ていて気持ちが良い」と言われるのは、「疲れが吹き飛ぶし、言われた瞬間は嬉しさで、お金のことは忘れている」という。
お客さんの喜びの声を聞く幸福な瞬間を求め、これからも働く人々のスーツを心を込めて仕立てていく。
■東京マイスターWEBサイト http://www.meister-award.metro.tokyo.jp/
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「体に合ったスーツを作るには裁断が肝心」と語る中田さん |