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2025年8月1日更新
目次
都響×ドラゴンクエスト/都民のためのオーケストラ/誰もが楽しめるコンサート
1965年に東京都が設立したオーケストラ。「首都東京の音楽大使」として、高い芸術性と豊かな表現力を備え、国内外で高く評価されている。定期演奏会をはじめ、教育・地域活動などを通じて音楽文化の発展にも寄与。今年、創立60周年を迎え、さらなる進化を目指している。
(C) ARMOR PROJECT/BIRD STUDIO/SQUARE ENIX
壮大な物語と心に残る音楽で、世界中のファンを魅了してきた日本を代表するロールプレイングゲーム。作曲家・すぎやまこういち氏による音楽は東京都交響楽団の演奏でも親しまれるなど、ゲームの枠を超えた魅力を放ち続けている。来年には誕生40周年を迎えるなど、今なお絶大な人気を誇る。
都響で会いましょう
1964年東京オリンピックのレガシーである東京都交響楽団(都響)は、東京2020大会においても、開会式で《オリンピック讃歌》の演奏を務めるなど、都民とともに歴史を歩み、今年、創立60周年を迎えます。
音楽の感動を多くの人に届ける、日本を代表するオーケストラ。その魅力に迫ります。
1986年に発売されたゲームソフト「ドラゴンクエスト」。来年、40周年を迎える本作は今も世代を超えて多くの人気を集めています。実は、都響と深い関わりがあることをご存知ですか?
「ドラゴンクエスト」の音楽の生みの親、すぎやまこういち氏の意向により、交響組曲「ドラゴンクエスト」1~11(全シリーズ)【注】の録音を都響が担当しました。
「交響組曲『ドラゴンクエスト』は都響にとって大切なご縁の一つ。交響組曲に込めたすぎやま氏の熱量と思いを受け継ぎ、未来につないでいきたいです」
(大野和士さん)
「ドラクエの音楽は、都響にとって特別な存在。すぎやま先生の意図を譜面にないニュアンスまで肌で覚えているメンバーが多い。自然と“僕らの音楽”になっているんです」
(水谷晃さん)
「ドラゴンクエスト」の曲を演奏する「ファミリークラシックコンサート」では、2004年の第18回公演から都響が出演し、すぎやまこういち氏の指揮で「ドラゴンクエスト」の楽曲を長年演奏してきました。日本各地で「ドラゴンクエスト」のコンサートが開催されていますが、作曲者自身と築き上げた都響の演奏は、ファンの間でも特別な存在として人気を集めています。
「ドラゴンクエスト3」【注】の曲「ロトのテーマ」は、東京2020大会の開会式で、選手入場曲として使用され、世界中のファンに強い印象を残しました。
この他にも、都響は、演奏される機会の少ない曲や日本初演曲などにも意欲的に取り組み、聴き馴染みのある楽曲だけではなく、多彩なプログラムに挑戦し続けています。ぜひ、都響サウンドをお聴きください。
【注】「ドラゴンクエスト」「1」~「11」、「3」の数字の正しい表記はローマ数字です。
日常のすぐそばで、一流の演奏に出会えるのも都響の魅力の一つ。「都民のためのオーケストラ」として、定期演奏会だけでなく、教育・福祉・地域振興など多方面で活躍しています。その取り組みの一部を紹介!
次代を担う子供たちに質の良い音楽を提供し、音楽・文化を愛する心を育てていくことも、都響の大切な使命の一つです。都内の小中高生を対象とした「Welcome!オーケストラ(音楽鑑賞教室)」では音楽を聴くだけではなく、「指揮体験コーナー」や「合唱での共演」など、子供たちが楽しく学べるプログラムを提供しています。
障害のある方にも、コンサートホールで生の音楽を気軽に楽しんでいただけるように、30年以上にわたり「ふれあいコンサート」を開催しています。また、学校や福祉施設、病院等を都響メンバーが直接訪問する「出張コンサート」を開催しています。
歌う!聴く!踊る!がコンセプト!
ファミリー・子供向けの音楽企画や、障害のある方も一緒に鑑賞できるコンサート等、誰もが楽しめる音楽祭!クラシック音楽をもっと身近に感じ、誰もが自然体で音楽に触れ合う空間を用意しています。
「音楽祭メインコンサート《Bolero》」
9月15日(祝日)15時00分、東京芸術劇場で。
「OK!オーケストラ~0歳から入場OK!」
9月14日(日曜日)11時00分・15時00分、東京芸術劇場で。
【注】無料で参加できる公演やワークショップなどはホームページをご覧ください(外部サイトへリンク)
音楽の力で子供の可能性を広げる感動の舞台再び!
子供たちと都響メンバーが練習を重ね、共演する感動のコンサートが約12年ぶりに復活!都響の音楽を多くの方に楽しんでいただくとともに、次世代の育成にもつながる無料の公演です(要申込)。
9月23日(祝日)14時00分、東京芸術劇場で。
TVアニメ「伝説巨神イデオン」の音楽をもとにした交響曲《イデオン》など、すぎやまこういちの壮大な音楽世界を、最高の布陣でお届け。
10月19日(日曜日)15時00分、東京芸術劇場で。
私と都響との関わりは、学生時代に歴代のマエストロたちの背中を追っていた頃を含め、もう40年以上になります。初めて都響を指揮した日、ベテラン奏者たちの真剣な眼差しに震えるような緊張と感動を覚えたことは、今も鮮明に心に残っています。かつての都響は、高いスキルを持つ個々の音が際立つ演奏が魅力的でした。現在は個性を保ちながら、楽曲の世界を一体となって描くオーケストラに進化したと実感しています。
また、都響は都民の皆さんとのつながりも深く、「サラダ音楽祭」では0歳から参加できる楽曲を演奏し、子供たちが自由に音に触れ合う時間を提供しています。目をキラキラさせて音楽を楽しむ子供たちの姿に、私自身、毎年このイベントをとても楽しみにしています。
60周年の節目を迎える今年、都響では記念すべき公演を多数予定しています。心に響く音楽との出会いを、どうぞお楽しみください。
Profile
都響およびブリュッセル・フィルハーモニックの音楽監督、新国立劇場オペラ芸術監督。これまでに、都響指揮者、東京フィル常任指揮者(現・桂冠指揮者)、カールスルーエ・バーデン州立劇場音楽総監督などを歴任。2015年、都響音楽監督に就任。フランス批評家大賞、朝日賞など受賞多数。文化功労者。
コンサートマスター 水谷晃さん
小学4年のとき父の仕事でインドネシアに渡り、言葉もわからない孤独な日々を救ってくれたヴァイオリン。言葉は通じなくても、音楽は人の心に届くという体験が、私を音楽の道へと導いてくれました。
都響には、音にすべてを懸ける仲間がいます。コンサートマスターとして、全体を見渡し、最高のパフォーマンスを引き出すことが喜びであるとともに、音楽を通して子供たちの感性や創造力を育むことも、私たちにできる大切な役割と信じて活動しています。ぜひ一度、都響の舞台を体感してください。オーケストラの演奏に最後の魔法をかけてくれるのは、観客の皆さんなのですから。
Profile
桐朋学園大学音楽学部を首席で卒業。2010年、群馬交響楽団にて国内最年少でコンサートマスターに就任。東京交響楽団を経て、2024年より都響コンサートマスターを務める。
首席チェロ奏者 伊東裕さん
学生時代にプロの方々もいるオーケストラに加わり、ベートーヴェンの『運命』を演奏したときに感じた圧倒的なエネルギー。それが私の原点です。
楽団員の楽曲や指揮者の意図を読み取る力の高さ、そして初回のリハーサルから本番さながらの集中力と完成度。指揮者が変われば同じ曲でも音色や表情が一変し、そこにオーケストラ全体や観客の熱量が共鳴する、そんな化学反応こそが都響の魅力です。
生の音には、言葉では語り尽くせない響きや感動があります。60年の歴史が育んできた伝統を守りながら、次代につながる音楽を創っていきたいと思います。
Profile
東京藝術大学音楽学部を首席で卒業。同大学院音楽研究科修士課程を修了。ザルツブルク・モーツァルテウム大学、ミュンヘン音楽演劇大学にて研鑽を積み、2022年より都響首席チェロ奏者として活躍。
ホルン奏者 鈴木優さん
柔道少女だった私がホルンと出会ったのは、中学の吹奏楽部でした。次第にその魅力に惹かれ、さらに初めて生で聴いたオーケストラのホルンの華やかさに衝撃を受けて、本格的にプロを目指すようになりました。少し地味な印象のあるホルンですが、実は音の厚みや迫力など、演奏の土台を支える重要な楽器でもあります。そこに命を懸けて吹いていますし、やりがいも感じています。
「オーケストラ=敷居が高い」と感じる方もいらっしゃるかもしれませんが、都響ではゲーム音楽をはじめ多彩なプログラムを演奏していますので、生でしか味わえない圧倒的なサウンドを五感で感じていただけたら嬉しいです。
Profile
東京藝術大学音楽学部卒業。藝大フィルハーモニア、東京交響楽団を経て、2019年より都響ホルン奏者として活躍。
(C) Yoshinori Tsuru
指揮者 山田和樹さん(バーミンガム市交響楽団音楽監督)
東京都に都響あり。そこはまばゆい音楽が常に溢れ出す泉のような場であり、60年のたゆまぬ努力の結果、日本において最もヨーロッパ的なサウンドとアンサンブルを誇る楽団に成長されたことは、本当に素晴らしいことだと思います。現在は、音楽活動に加えて、常に都民をはじめとした社会とのつながりや連携を大切にしていく姿勢が全面に打ち出されていることにも頭が下がります。
東京都交響楽団創立60周年、誠におめでとうございます。