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令和5年(2023年)10月1日更新

※10月号は、9月15日時点の情報に基づき作成しています。

知ればもっと好きになる 多摩

10月号は多摩エリア特集。
10代の頃は歌手・タレントとして活躍される一方、ご自身が大好きだったファッション・デザインの勉強を重ね、今はデザイナー・アーティストとして、世界的な活躍をされている篠原ともえさん。実は、多摩の青梅出身ということで、今回、多摩の魅力について、お話をおうかがいしてみました。

写真1

自然・街・ものづくり

青梅市出身の私にとって、小さい頃の思い出は自然とともにあります。夏に川へキャンプに行ったり、冷え込む冬の夜に澄んだ星空を眺めた時間は、私の宝物です。
もちろん野山を駆け回るばかりじゃなく、昭島駅や立川駅周辺にショッピングに出かけるのも大好きでした。雑貨店などを巡りいろんな素材を買ってもらい、アクセサリーや服を自作したものです。ものづくりへの関心が強かった私は、西八王子にある高校の応用デザイン科へ進学します。実は八王子は織物が盛んな土地で、その技術を継承するために、専門的なデザインを本格的に学べる学校だったんです。
16歳で歌手デビューしたので、学業と両立させるための時間のやりくりは大変でしたが、忙しい日々の中、学校でものづくりに打ち込む時間が活力源になりましたね。自分でつくったアイテムを身につけて、テレビ収録やライブ公演に臨むのは、誇らしくてうれしかったです。そういう意味でも、住んでいる地域がものづくりの街で、その技術を教えてもらい、挑戦をさせてもらいながら、都心にも通える場所だったというのは、とても幸運でした。

多摩エリア出身者 interview インタビュー

篠原ともえさん

1979年生まれ デザイナー/アーティスト
青梅市で育ち、高校は八王子。祖母が東京都青ヶ島に住み、幼い頃のそこでの自然・天文体験の大きさをメディアで語っている。1990年代後半に歌手デビューし、原色を基本としたオリジナリティあふれるファッションで、「シノラー」ブームを巻き起こした。その後、デザインの勉強を重ね、2020年にクリエイティブスタジオ株式会社「STUDEO」を設立。2021年・2022年と、国際的な広告賞ニューヨークADC賞で受賞をしている。

写真2

多摩の景色が私を魅了し、「感覚の記憶」を与えてくれた

いまデザイナーとして仕事をしながら、つくづく思います。これまでに見たり聴いたり感じたりした「感覚の記憶」みたいなものが、その人の表現にそのまま表れるのだということを。私の場合は、自然・伝統・都市機能のすべてがバランスよくそろった多摩の地で過ごした経験が、現在のアウトプットに多大な影響を与えてくれました。
どこかに遊びに行くというよりは、自然だったり街だったりをなんとなく歩いている中で、刻一刻と変わっていく景色が私を魅了してくれたんです。そこで見た夕暮れの色、川べりで寝そべって感じた風の感覚は、今でも鮮明に覚えていますし、それに夢中になっている時間が至福の時間で、自分は頑張れると思って、色々なことに取り組めたんですよね。

おすすめの場所は「全部!」

多摩のおすすめの時期や場所はと訊かれたら、「全部です!」と答えたくなりますね。どの季節も特別な体験ができますから。春は青梅市の梅郷地区がすばらしいです。たくさんの梅の花が咲き誇り、一面に濃厚な梅の香りが立ち込めます。夏はあちこちで花火大会が開かれます。私が慣れ親しんでいるのは青梅市納涼花火大会。地域の皆さんが本当に楽しみにしている催しなんです。
秋は奥多摩湖の紅葉が見事です。湖面に映える赤や黄、空の青色が美しい。そして冬は、多摩エリアのどこからも星がよく見えるので、ぜひ夜空を見上げてほしいです。
この秋でいえば、今年初開催の「八王子芸術祭」が楽しみです。私も作家のひとりとして参加しており、高尾の森の間伐材を原料にしたバッグを制作しました。高尾山の地域の方々は50年近くゴミ問題に取り組まれていて、30年ぐらい前にゴミ箱を置かない決断をされたんです。「山に登ったらゴミを持ち帰る」という文化をつくると。そんな地域の皆さんがつくった文化を促すためのバッグでもあり、皆さんのご協力が必要なアートプロジェクトになっています。高尾山頂で限定配布しているので、この機会にぜひ足を運んでいただき、多摩の魅力を存分に味わってもらえたらと思います。

写真3
Photo:Machiko Horiuchi

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