ここから本文です。
2026年8月1日更新
目次

都市の姿を独自の視点で見つめ続ける写真家。代表作『TOKYO NOBODY』等の作品で高い評価を獲得し、『東京窓景』で第30回木村伊兵衛写真賞を受賞。都市に息づく静寂や気配を捉えた作品は、国内外で広く注目を集める。『新版 東京』ほか、精力的に作品発表を続けている。

Instagram@masataka.nakano(外部サイトへリンク)
作者コメント
夏の東京にも、早朝や夜の光や風景の中に、ふっと涼を感じる瞬間があります。そのひとときが心をほどき、見慣れた街の新しい表情や思いがけない発見につながるかもしれません。この特集を片手に、あなただけの東京に出合ってみてください。
今回の特集は「TOKYO CHILL」がテーマ。CHILLとは、涼しい、かっこいい、まったりゆったり過ごす、といった意味で、東京のCHILLなスポットをクローズアップします。
多様な個性を持つ東京。朝や夜は、昼間とはまた違った表情を見せてくれます。厳しい暑さが続くこの夏、日中の暑い時間帯を避けた、東京を楽しむ新たな方法として、「朝」と「夜」ならではの体験に注目。
外出の際は十分な暑さ対策を行い、施設・イベント等の最新情報は各公式ホームページ等でご確認ください。
光が変わるだけで、街は表情を変える。五感を刺激する景色と気配に魅せられて。
都市の風景を独自の視点で撮り続けてきた写真家・中野正貴さんが語る、朝や夜の東京の魅力をお届けします。

(c)Masataka Nakano
東京の朝と夜の光を、写真家として意識してきました。朝は、光が違うのです。斜めから差し込む光がビルやガラスに反射し、夏の葉についた朝露をきらめかせると、街の輪郭が一気に立体感を帯びます。高層ビル群の光と影が織りなす一瞬の表情は、東京ならでは。青みを帯びた光と人影の少ない澄んだ空気からも、涼しさを感じられます。
夜は、雨の日が面白い。街の灯りが映り込んだ濡れた路面。ネオンを受けて輝く雨粒たち。朝と夜、その時間だけの光に目を向けると、また違った東京の表情に気づくはずです。

(c)Masataka Nakano
無人の東京を撮った『TOKYO NOBODY』を撮り始めてから40年近く、その変遷を見つめ続けてきました。
ファインダー越しに見えてきたのは、無機質な風景に確かに宿る温かさ。それは、東京という街に刻まれてきた「記憶」のようなものかもしれません。ビルをつくった人々、そこに暮らし、行き交った無数の人々の想い。積み重ねられてきた営みや時間の気配に、今なお創造力を刺激され続けています。だからこそ東京は世界中の人を魅了するのでしょうし、この街を訪れる人もまた、東京の「記憶」の一部になっていくのだと思います。
僕にとって東京の魅力は、スマートでありながら、どこへ向かうのかわからない混沌(こんとん)とスピードを内包しているところ。角をひとつ曲がれば、小さなほこらや新しい高層ビルに出合う。無国籍のような景観に足を止め、思わずシャッターを切る。見慣れた風景でさえ新鮮に映る早朝や夜の「光」と「涼」を感じながら、そんな不思議で面白い東京の表情を探しに出かけています。

写真家 中野正貴さん
都では、「訪れるたびに新しい体験や発見がある、世界を惹きつける東京へ」を掲げ、多彩な魅力を発信しています。例えば、「世界の都市総合力ランキング2025」では、ナイトライフ充実度が1位に評価されるなど、今、東京のさまざまな魅力が世界から注目を集めています。これからも、その魅力を世界へ、そして未来へ発信していきます。