トップページ > 都政情報 >とちょうダイアリー > これまでの都政レポート > 都政レポート/2025年 > 11月 > 100年前の心温まるプレゼント 渋沢栄一が愛した青淵文庫へ
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2025年11月18日
教育庁
桜や紅葉の名所として有名な飛鳥山公園の一角は、一万円札の顔である渋沢栄一の邸宅があったところとしても知られています。その邸宅跡地にある渋沢史料館では、青淵文庫の竣工100年を記念して、企画展「渋沢栄一の“美事なる図書室”」が開催されています。東京文化財ウィークにちなんで国指定重要文化財の青淵文庫と晩香廬、そして渋沢史料館本館を訪ねました。

鉄筋コンクリートとレンガでできた建物の直線を、縁取るようにあしらわれたタイルとレリーフが印象的な「青淵文庫(せいえんぶんこ)」。大正14(1925)年に、渋沢栄一の傘寿(80歳)と男爵から子爵になったことをお祝いして贈られた建物です。
渋沢家の家紋である「丸に違い柏」をモチーフに、柏の葉とどんぐりがあしらわれたデザインタイルはなんと約2700枚。一枚ずつすべての工程が手作業で作られたというから驚きです。

優美なインテリアに囲まれた閲覧室は、栄一が国内外からの賓客をおもてなしした場所。ステンドグラスの中央は、柏の葉と壽(寿の旧字体)の文字がモチーフになっています。左右には、この青淵文庫を寄贈した竜門社(現在の公益財団法人渋沢栄一記念財団)の名にちなんで、昇り竜と降り竜が見守っています。

建物の外部も館内もあちこちに壽の文字、唐草や花の紋様、コウモリなどがあしらわれていて、すべて祝福や長寿などおめでたい意味を持つモチーフ。栄一へのお祝いの気持ちがあふれんばかりに込められた、オーダーメイドのプレゼントなのです。

青淵文庫のすぐ近くにある、栄一の喜寿(77歳)をお祝いして建てられた「晩香廬」(ばんこうろ)。こちらも大正時代に洋風茶室として造られた、コテージ風の建物です。木のぬくもりが感じられる談話室には、家具や壁の装飾に動植物やハートマークなどが隠れていて、思わぬ発見があります。

こちらの写真は2024年12月上旬撮影
渋沢史料館本館には、0歳から91歳まで、渋沢栄一に起こった出来事をたどることができる展示があります。お札の顔や大河ドラマでよく知られるようになりましたが、その波乱の人生と数々の功績は、すべてをじっくり見ていたら1日あっても足りないかもしれません。

東京文化財ウィークは、都内各地にある文化財を身近に感じてもらうためのイベントです。文化財の一斉公開や企画展、講座、文化財めぐりなどを11月30日(日曜日)まで開催しています。
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